本格的な歯列矯正はしたくない、または必要ないけれど、目立つ前歯の乱れはきれいに整えたいという方は少なくありません。
そのような方には、笑ったり話したりするときに気になる前歯だけを直すプチ矯正(部分矯正)という方法があります。
一般的な矯正の方法
一般的な矯正は、歯並び全体を直すブラケット矯正と呼ばれるものです。
一本一本の歯にブラケットを装着してワイヤーを渡し、ワイヤーの強さを調節することで、歯を正しい位置に少しずつ動かしていきます。
ブラケット矯正には3種類あり、歯の表側に装置をつける表側矯正と、目立ちにくいように歯の裏側に装置をつける裏側(舌側)矯正、目立つ前歯だけ裏側に装置をつける方法があります。
歯やあご全体を調整しながら全体的に歯並びを直していくので、時間がかかりますし費用もかかります。
矯正方法としては、このほかにアライナーと呼ばれるマウスピースを使うマウスピース矯正というものもあります。
プチ矯正なら短期間・リーズナブル
一般的な矯正のようにすべての歯並びを直すのではなく、部分的に前歯を直すのがプチ矯正(部分矯正)です。
プチ矯正はこんな方に向いています。
- 前歯だけ矯正が必要である
- できるだけ短期間で歯並びを良くしたい
- 笑った時に見える歯だけ優先的に治したい
- 見た目をもっときれいに整えたい
プチ矯正は前歯だけを直すもので、大きな奥歯を矯正しません。そこで、歯周病が進行してしまって全体矯正ができない方や、高齢の方でも行えるのがメリットです。
矯正を行うときに、多くの人が悩むのが期間と費用です。
透明のブラケットを使うようになり以前よりは目立ちにくくなりましたが、一度装着すると取り外しがきかないため、やはり見た目は気になります。
また、通院回数も多いので、仕事がある方などは月々の診察のためのスケジュール調整も大変です。
この点、プチ矯正は部分的に歯並びを直すものですから、費用も期間も抑えられます。
矯正装置を長い間つけなくてよいので見た目が気になる期間も短いですし、通院の回数も少なく、さまざまな意味で負担が少ない矯正方法といえるでしょう。
部分矯正の流れ・費用・期間
流れ
プチ矯正は、矯正箇所が前歯であるだけで、一般的な矯正と全く同じように行います。表側・裏側ブラケット矯正もできますし、マウスピース矯正もできます。
ブラケット矯正は次のように行います。
- 歯の表面をクリーニングする
- 一歯ずつ接着剤でブラケットをつける
- ワイヤーを装着する
- 定期的にワイヤーを調整する
マウスピース矯正は次のように行います。
- 歯の型採りをし、装置(アライナー)を作る
- 1日20時間以上アライナーを装着する
- 2週間おきに新しいアライナーに替える
いずれの場合も、2週間〜1ヵ月おきくらいに定期的に通院し、経過を診察してもらう必要があります。
費用
一般的な矯正の目安は、初期費用80万円に毎月の調整料が5,000円程度、費用の総額は100万円程度です。
プチ矯正の場合、費用の目安はおよそ次のようになります(個人差があります)。
- 上の前歯だけ…100,000円〜
- 上下の前歯だけ…150,000円〜
期間
一般的な矯正期間の目安は、2〜3年程度です。プチ矯正はおよそ3ヵ月〜1年程度で終了します(個人差があります)。
プチ矯正で気をつけたいこと
費用と技術を確認する
そもそも矯正は自由診療で、矯正費用は各クリニックが自由に設することができます。
プチ矯正(部分矯正)にどれくらいの費用がかかるのか、事前にきちんと説明を受けましょう。また、クリニックによっては、プチ矯正(部分矯正)に対応していないところもあります。
抜歯矯正かどうか
大人の矯正治療では、抜歯を行う矯正も行われています。
抜歯を行うのか非抜歯矯正をメインに行っているのか、自分の場合は非抜歯矯正ができるのかなどを、事前に確認しましょう。
デメリットもある
費用も期間も抑えられるプチ矯正ですが、デメリットもあります。
前歯だけの矯正であるため、隙間が残ってしまったり、上下のかみ合わせが整っていない場合には、事後治療が必要になることがあります。
ブラケット矯正かマウスピース矯正か
前歯の矯正を主に行うプチ矯正では、手軽なマウスピース矯正もよい方法ですが、メリット・デメリットを知っておくことが大事です。メリットは次のような点にあります。
- 透明なプラスチック製のマウスピースなので、目立ちにくい
- 取り外しができるので食事に便利で、衛生的
- ブラケット矯正よりも費用が安い
- 金属アレルギーでワイヤーが使えない人も矯正できる
- 矯正中でも外して歯の治療を行える
- 矯正中の痛みが少ない
一方、デメリットは次のような点です。
- 歯を大きく動かさす矯正はできない
- 前歯の凸凹がひどい場合はできない
- 奥歯の矯正には不向き
ただし、マウスピース矯正には対応していないクリニックもあります。
まとめ
プチ矯正(部分矯正)は、全体矯正よりも費用も時間も少なくて済みます。
矯正に時間が書けられない方や費用をなるべく抑えたい方にはおすすめの方法です。
ご自分のケースでプチ矯正が可能かどうか、一度歯科医に相談してみてはいかがでしょうか。